中国の強いママたち 〜中国ホワイトカラーの育休事情〜

中国の女性は強いです。

かつての男性部下からでも、

「ちょっと口答えしたら妻に腰をけられた」だの、「学生時代の女友達と飲み会の席で殴り合いの喧嘩になって負けた」だの、という話を聞くのはしょっちゅうで、男性と力で喧嘩する女性は普通にいます。

が、私が中国にいて一番「中国の女性は強いなあ」と感じたのは妊婦さんたちです。

北京の地下鉄通勤。東京の満員電車以上に混雑する地下鉄で出勤する妊婦さんも多いです。マタニティマークなんてないから、お腹が出てきて明らかに妊娠中とわかるまではさぞかし大変だろうし、聞いている方がヒヤヒヤしてしまいます。

勤務中も妊娠前と全く変わりません。検診で遅れればその分残業して自分の業務はきちんとこなしていくし、繁忙期ならば残業も厭わない。

最近は妊婦の体重管理も日本のように厳しくなっているようで、臨月には1日1万歩歩きなさいと言われることもよくあるようですが、そうなれば、ランチをさっさとすませて、オフィスの周りを散歩して体を動かしています。そして、ランチタイムが終われば通常通り午後の仕事に取り掛かるのです。

今出産ピークなのは、20代後半から30代前半の80年代生まれ、いわゆる「80后」と言われる世代なのですが、彼ら世代は、世代の大部分がホワイトカラーという初めての世代です。

私が北京のオフィスに勤務した5年余りの時間に、80后世代を中心に、20人くらいの同僚女性が出産しました。そして、妊娠や出産を機に退職した女性は一人もいませんでした。中国には妊娠をきっかけに会社が退職させてはならないという法律があるので、マタハラなんて有り得ません。妊婦さんたちは、お腹が大きくても大いにマタニティライフとキャリアを両立させています。

そしてもっとびっくりするのは、産休、育休期間の短かさ。最も短かったの女性部下は、

「産休はいりまーす」といって休んで3日後には出産、産後2ヶ月目には自宅勤務に切り替え、3ヶ月後には復帰してきました。

子供が不憫ではとも思いますが、そこはしっかりとしたサポート体制が中国にはあります。

ユエサオという、産後女性をサポートする専門の職業があって、そういう人を雇えば新生児と産後女性の面倒をみるために住み込みあるいは通いでやってくれるのです。

もっとも最近は、「いいユエサオは高い。1ヶ月8000元(15万円ほど)する」というし、「いいユエサオを見つけるのは大変、質が悪いことがあって心配」という事情もあるようですが。

また、出産後オフィスに復帰してもママ達は忙しいです。オフィスの女性トイレでは、定期的に女性たちが搾乳機を持ち出して搾乳し、オフィスの冷蔵庫にお乳を保存、帰宅時に冷蔵庫から取り出して持ち帰る、というのも当たり前の光景でした。

出産費用が今や日本よりも高いということもザラな中国都市部。日本のように出産費用が助成金として返ってくることもないというし、その先の幼稚園も日本より高いことを考えれば、産休だ、育休だなどと悠長なことも言えず、さっさと復帰せざるをえない事情はあるのかもしれません。

ただ、印象的だったのはある女性の一言。

「子供かキャリアか、という質問は愚問。働くのは当たり前でしょう?」

「ユエサオは子育てのプロ。プロにお金を払って、自分もプロとしてそれ以上に自分が稼ぐのが合理的ですよね」。

中国女性の強さは、肉体的な強さのみならず、自立したメンタリティにも支えられているように思います。