訪日観光客数2000万人という目標は何だったのか

日本政府観光局(JNTO)の統計では、2015年の訪日観光客数が1973万人となり、2020年の目標数であった2000万人をほぼ達することから、政府は2020年の訪日外国人の目標を4000万人に引き上げました。

このニュースの報道については、訪日旅行誘致活動が成功し政府の予想を大幅に超えて増加したために「上方修正」を行ったという、お祝いムードの論調が大多数を占めています。確かに毎年二ケタ増加を順調に達成し、訪日観光客は急速に増加しています。中でも特に中国人の訪日客は14年比でほぼ2倍の500万人となり、今や訪日客の4人に1人を占めているほど影響力は甚大です。

しかし、この中国人の急増現象は日本だけの現象ではありません。

15年の中国人の海外旅行先を見てみると、タイでは800万人を超え14年の450万人からほぼ倍増で1位をキープ。韓国も伸び率は鈍化しているものの615万を超えて、むしろ訪日客を大幅に上回っています。オーストラリアも絶対数は少ないものの初めて100万人を越えました。

つまり、増加の要因は中国やASEAN地域での経済発展に伴う海外旅行者数の増加と、それに合わせた円安とビザ緩和による外部要因でした。2000万人という数字は、言わば黙ってても達成できた単なる市場の保守的な予測値であり、日本の相対的なパフォーマンスを示しているものではありませんでした。

こういった状況で、4000万人という数字は、イタリアやトルコなどの観光立国とほぼ同様の数字であり、東南アジア、オセアニアへの観光客を本気で日本へ奪ってこなければ達成できない、真の意味で目標値と言えるでしょう。

旅行者を奪い合う他国との熾烈な競争に晒される中で、日本も本気で観光立国になるためには、「来た人を迎える」から「来るために刈り取る」という価値変換が必要になるでしょう。